BACKSTORIES

空想していた、理想の家を形に

オルガンクラフトが手掛ける工事の裏側を紹介するバックストーリーズ。今回は自由が丘から2駅、利便性と最高の景色に囲まれて暮らし始めたKさん夫妻の新居へとお邪魔しました。幼い頃からインテリアに興味があり、内装への強いこだわりを持っていた中で、そのイメージを理想から現実へと具現化できたという。そんなマンションのお部屋を案内していただいた。

<Profile>
世帯主/Kさん夫妻。システムエンジニアの夫と、元広報の妻。IT企業で出会い、交際期間を経て2019年に結婚。内装にこだわっていきたいという思いから中古物件を選択し、広さや抜け感などの条件を満たした物件を購入後、理想とするリノベーションを追求しオルガンクラフトに出会う。

モノトーンで叶う、格好良さと温かみの両立を求めて

2人で暮らす新たな家を購入しようと決めた後、馴染みのエリアの中で幾つかの物件を検討し、その中で候補として残った2つの物件に足を運んだというKさん夫妻。最終的に今の物件に決めたのは、「窓から見える空と景色が気持ちよかったから」。

「もともと好きだった黒を基調にしたクールなテイストの家にしたいというのが、私と夫の希望でした。でも、クールといっても“冷たい”雰囲気になりすぎないようにしたくて。いわゆるモノトーンの住宅というと、床が大理石などのホテルライクなテイストのイメージが強いと思うんです。もちろんそれも素敵だけど、私たちが住みたいモノトーンの家は少し違うのかな、と思っていて。黒を活かしつつ、温かみも感じられるような造りを目指しました。それで床は素材から温もりが感じられる木目を活かしたウッド素材を取り入れました。夫より私の方が家へのこだわりが強くて、夫はそれを包み込んでくれるというか。私の理想の家を一緒に造ろうとしてくれて、夫婦で話し合ってオルガンクラフトに依頼したんです」(Kさんの奥さま)

そんな奥さまのこだわりを身近で見ていたご主人はというと。

「妻から『できるだけ内装にこだわりたいから、建物自体の価格は抑えたい』と相談されたときに、すぐに共感しました。それから、まずは中古の物件探しをスタートさせました。その時に一軒家ではなくマンションを選択したのは、1〜2階など上下の移動をなくして平面で動きたかったから。僕は家で仕事をすることが多くなり、『自分の書斎が欲しい』というくらいしか希望がなかったんですが、以前に2人で住んでいた家は、リビングで仕事をするしかなかったので、彼女が音楽を聴きたい時なども、そのすぐ横で仕事をしているのでお互い気を遣うというか・・・。ただ、現在のリモートワークがずっと続くとは限らないので、書斎と限定しないで、環境などが変わった時は、別の部屋として活用できるようにしたいと思っていました」( Kさん)

着工が始まるまでのおよそ3ヶ月の間、打ち合わせやディスカッションをしていく中で、奥さまの好みなどがだんだんと掴めてきたという。そんな中でオルガンクラフトの心のこもった提案とスピード感を持った柔軟な対応は、理想の家を造り上げていく中でとても必要で、大切な時間だったとKさん夫妻は語る。

会話から生まれる、新しいアイデア

「奥さまの理想の形は最初からハッキリしていたので、私たちはそれを現実の世界に移行するような作業だと感じました。ただ、こちらは建築の専門家として『理想の形はこうだけど、それは構造的に作れないので、こうしませんか?』という、できることと理想の形の間にある部分を探るような、現実的に可能になるような提案をしました。例えば、天井に沿ったダクト部分を敢えてむき出しにした理由は、天井に埋め込んでしまうとあまり高くない天井をさらに圧迫してしまうからなんです。だから見える部分に出したんですが、家づくりのディスカッションを重ねていくうちに、奥さまの好みからこの感じの仕上がりが好きなんじゃないかと思い、ご提案させていただきました」(オルガンクラフト・建築デザイナー山下さん)

「私も最初にこの物件を見た時に、天井が少し低いのが気になっていたんです。だからこれ以上圧迫感を出すことはしたくなくて。そんな時にオルガンクラフトの山下さんからご提案いただいたのは『敢えて見せる』というデザイン提案でした。ダクトを埋め込まずに、開放感を持たせながら、デザイン的にもカラー的にも満足のいくものになったと思います。メンズライクなものが好きな私にとっては、無骨な感じのするシルバー部分を見せることで、よりデザイン性を高められたように感じます。そしてさらに開放感を出すために、照明も露出配管に、天井や壁の色は真っ白の塗り壁にしました。黒が多すぎると重く閉鎖的な雰囲気になってしまうので、それを避けるために、黒・白・グレーのメリハリやバランスを大切にしたい、ということを山下さんにお伝えしたんです」(Kさんの奥さま)

さらにKさん夫妻のこだわりは続く。部屋の中に入る光の量の多さについて教えていただくとこんな答えが。

光を存分に取り入れた空間

「実は妻の希望で、寝室に室内窓を付けたのですが、これが大正解でした。妻にその理由を聞くと『室内窓がある家は素敵だから』という当初は単純なものだったんですが(笑)。でも暮らしていくうちに、窓のない壁だと閉鎖的になってしまいがちな空間も、室内窓だと天気の良い日は南側からの光もリビングに届くし、風が通り抜ける心地よさを実感できるんです。妻の希望で付けたものなのですが、今では僕の方が気に入っているくらいです」(Kさん)

そして、風合いのあるランプや印象的なアート、植物など部屋には温かみを感じられるような工夫が散りばめられている。

「部屋を彩るランプはFUTAGAMI(フタガミ)やNEW LIGHT POTTERY(ニューライトポタリー)のものです。マットな黒と、真鍮の少しクラシックな雰囲気を纏った金色との組み合わせがすごく好きで。他にも、以前から集めているお気に入りのアートを家の各所に飾り、常に植物や花を置くようにして、無機質な印象になりすぎないようにしています。家で過ごす時間が長くなったからこそ、自分たちでこだわり抜いた家で過ごす心地よさや楽しみが日々の活力につながっているように感じます」

「ソファに座って、何をするでもなく過ごしている時に、この廊下の景色がふと目に入ると、『すごくいいな』って思うんです。こだわったポーターズペイントの壁や好きな家具、楽器に囲まれてゆっくりとした時間を過ごしている時や、2人で共通の趣味であるお酒を飲みながら何気ない話をする時間とか。自分たちの好きなものに囲まれて過ごしている時間が、かけがえの無い宝物のような時間だって毎日実感するんです」(Kさんの奥さま)

Photo& Interview :Daisuke Udagawa(M-3)
Text:Yumiko Fukuda(M-3)