BACKSTORIES

風と光、そして木の温もりに包まれた家

オルガンクラフトが手がけた数々のリノベーション物件。今回は「団地リノベーション」案件をピックアップ。ここは、そんなオルガンクラフトによる「WORKS」から、世帯主とデザイナー・北原による「BACK STORIES」をお届けします。今回は、元々祖父母の家だった物件に住むAさん夫妻邸をご紹介します。

<Profile>

世帯主/Aさん夫妻。最近はもっぱらリモートワークが中心になり、自宅で過ごす時間が圧倒的に増えたそう。

リビングのソファ後部には収納スペースが配されている。収納トビラは、オルガンクラフトによるオリジナルの建具で、耐久性に優れたヒバ材にオイルステイン塗装を施したもの。

 

仕切りを取り除き、LDKスペースを広く設計

緑陽豊かな街並みには、心地よい風が吹き抜ける。近くには大きな自然公園もあり、とても暮らしやすいエリアにAさん夫妻邸があります。リノベーションを施した家は、元々はAさんの祖父母が住んでいた家。「とても年季の入ったこの家を引き継ぐことになり、今回リノベーションを依頼しました」とAさん。

Aさん「風通りの良さと光がたくさん入ってくるのが、この家の魅力。『そんな良い部分を存分に活かしたい』という希望を伝えました。妻からは『収納場所を多く充実させたい』というオーダーをしました」

デザイナー北原(以下K)「元々は縦長の3LDKで、部屋が細かく仕切られている状態の物件でした。壁式構造という、間取り変更に制約が出てしまう構造体ではありましたが、Aさんがおっしゃるように当初このお部屋でお打ち合わせした際、気持ちの良い採光性と風通りの良さ、何よりAさんのおじい様、おばあ様がすごく丁寧に暮らされており、生活の味が感じられるいい住まいでした。Aさんが受け継がれた家のバックグラウンドからポテンシャルを感じ、玄関からLDK内のストロークの良さを引き出すため、仕切りを取り除き、スペースを広くとりながら、生活の導線をイメージしながら設計しました」

広めに設定されたカウンターキッチンは、ウッドとシルバーのコントラストに心奪われる。リビングだけでなく、キッチンにも自然光がたっぷり差し込む。

 

新品とヴィンテージの融合

Aさん夫婦はお互いヴィンテージテイストの家具が好きなど、インテリアの趣味がバッチリ合うという。

Aさん「完成した時にすべてが新品、というのが苦手でどこか風合いのあるものを取り入れたいと思い、北原さんと一緒に家具屋さんを巡ったりし、デザインイメージのすり合わせを行いながら、ヴィンテージの家具を探しました」

K「Aさんから、『使いたい扉があった!』と連絡をいただき、私自身もすごくイメージに合った扉と感じ、それらを活かした床材や建具、住宅設備の設定をしました。イメージ通りの建材がない場合はオリジナルで一からモックアップ品(試作品)を作って、デザインのすり合わせを行って納得がいったものを採用しています。収納部分の扉は全て、弊社のオリジナルの建具となっています」

Aさんが見つけたというヴィンテージのトビラ。「アメリカ製で元々ホテルや事務所などに使用されていた業務用だったようです」(Aさん)

 

LDKの床には無垢のオーク材を。エントランスから廊下までは、モルタルが採用されている。

このコロナ禍でリモートワーク中心となり、Aさんも例外ではなく職場の環境がガラリと変わったひとり。

Aさん「これからしばらくはリモートワークが主になるなと考え、自分の書斎は特にこだわりました。仕事をする場所だから、とにかく集中できる空間にしたいと」

K「デスクは、ホワイトオークで製作しました。丈夫な素材感とゆったりと使える適度な広さ、長時間仕事をしていても疲れない、長年使用しても飽きの来ない木の温もりが感じられるものをセレクトしました」

Aさんの書斎。コロナ禍でリモートワークが増えたため、とても大事なスペース。デスクには、ホワイトオーク材を使用。たっぷりの自然光と優しいウッドの温もりが集中力を高めてくれる。

 

家が快適であることが大切

世帯主とデザイナーが共に意見を交換し合い、無事に完成したA夫妻邸。Aさんにでき上がった家について感想を尋ねると。

Aさん「元の家と全然違う家になったなあ、と驚いたのが最初。すぐに、部屋中に風や光がたっぷり入ってくることに気づいて、この家の良さがさらに際立って嬉しく思いました。所々、ヴィンテージの扉やモルタルの床などがあり、新品のフレッシュさとヴィンテージの味わいが共存していて、とても落ち着く空間になっていて大満足です。今回、リノベーションを経験してみて、やはり家が快適であることの大切さを改めて実感しました」

Photo & Edit:Daisuke Udagawa(M-3)

 

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