PERSONALITY
その瞬間を、捉え続ける。
大喜舎・大迫喜春の手仕事の本質を探る。
[ CRAFT by organ craft ]
あらゆるフィールドで活動するクラフトマンの手仕事にフォーカス。
前編はパーソナルな部分、後編ではその人の仕事やビジョンを深堀る。

遡ると新石器の時代から耐久性や火災対策など、居住空間の快適性を保つ手段として知られ、無形文化遺産にも登録される“左官”。
日本では、城の壁などにも使われてきた漆喰も馴染深いが、
現在は、耐久性を保ちつつ幅広い色味や質感を取り入れ、美的演出として利用されるMORTEXやBEALSTONEといったヨーロッパ生まれの塗材も数多く使用されている。
日本のみならずヨーロッパなどでも施工経験があり、MORTEXの講習官としても
活動する大迫さん。そんな、大迫さんの手仕事と左官業に対する考えとは。
きっかけは単純だが、奥深い世界だった
「きっかけは、左官をやっていた父ですね。よくある感じですみません」と大迫さんは笑う。
現場に付いて行っていた子どもの頃から、するするっと今に至っている感覚だという。
「始めた当初は、クロスや塗装前の下地左官をやる機会が多くて、それが悪いわけでは全くないんですが、そこから独立して仕上げをやるようになってからですかね。面白くなってきたのは。奥深いし。」お客さんの喜ぶ顔が見えたり、自分が施工したものが目に見える形となる喜びは何にも代えがたいという。下地左官をやっていた時代があるからこそ、下地組みの大切さもわかる。
育成側としても、左官の醍醐味を考える
左官一筋、29年目。いまでは、BEAL社公認のMORTEX講習官も務める。
「オオサコ、オモシロイナって本場ベルギーのスタッフに言われてたみたいで笑」
当初いち参加者だった大迫さんは、他の参加者へ教える姿などが目を引き、講習官を依頼される流れになったという。
現在、講習会は2, 3か月に一度開かれ、左官ビギナーから玄人、左官の種類を学ぶために工務店スタッフも参加することもあるという。
誰にでもオープンなショールームになれば
現在、大喜舎チームは、アトリエ横で自社ショールームの施工を着々と進めている。
打ち合わせはもちろん、設計担当や施工を考えているお客さんが、あらゆる左官の特徴を実際に確認できる場にしていきたいという。
モルタル造形で、岩柱やヴィンテージテイストの擬木など、左官とは思えない質感を施した造形物が並ぶ。
「やりたいことを詰め込んで、日々アップデートしている感覚なので、いつ完成するか分かりません笑」と大迫さんは言うが、はやく完成形が見てみたい。
プライベートとパーソナルな質問を。
Q.趣味はありますか?
サーフィンです。むしろサーフィンオンリー笑。あとは、息子のハンドボールです。インターハイレベルで熱心にやっているので、各地に試合を見に行ってます。
Q.ウィークポイントを挙げるとしたら?
いまでは、講習官をやってる身ですが、元々は人前でしゃべることがかなり苦手でした。
ただ、やれば出来る精神で、自分の講習を録音して確認を繰り返して慣れていきました。
―後編に続きます。
interview ・text:ORGAN CRAFT , photo:Yusuke Baba

大迫 喜春
https://www.taikisya-sakan.jp/
株式会社大喜舎 代表取締役。
1978年生まれ。一級左官技能士。
MORTEXの製造元であるBEAL社公認講習官。
Instagram:https://www.instagram.com/taikisha_sakan/