STORIES

ディレクター・デザイナー・施工管理・施主へのインタビューで、
家づくりを基点としたストーリーを紐解く。

CASE5:OJIMA
自分がどう暮らしていきたいか。
ルーツを捉え、自然体で住み継ぐという選択。

宇宙開発の仕事に携わる施主にとって、あらゆるカルチャーやコミュニティが渦を巻く、
まるでコロニーのような街区・大島がぴったりだと感じた。


このエリアは1970年代前後に、団地が街の基盤となり、防災や公園整備などの段階を経て、
現在の空気がつくられてきた。いまでも周辺にはその名残がある。


リノベされていない物件を探すのも、労力のかかるものだった。

リノベ済み物件を2件ほど内見したが、自身が求める質感とは離れていると感じたという。
そこから、リノベが施されていない生身の物件を探すことになるが、物件獲得はスピード勝負という
こともあり難航。複数物件を見たのち、最終的に自分の理想を体現できると感じたここに巡り合うこととなった。




古建具をベースに、空間づくりをするのは新鮮だった。

既製品ではなく、古建具を使用すると決定してから打ち合わせの進行スピードがぐっと上がった
という。「ほぼ全ての建具に古建具を使用するのはなかなかない経験だった」と設計担当も語る。
施主と設計担当で、古建具屋に足を運び、検討を重ねた。それらを中心に、各空間の構成を整えて
いった。

Q. リノベの選択はどのタイミングで考えましたか?

時期としては、2024年の夏くらいから物件探しは始めていて、当初はリノベ済み物件も見ましたがしっくりこず、そこからはリノベありきで物件探しをしました。タッチの差で業者に先を越されることもあり、労力を費やしましたが、燃えるものもありましたね笑。

Q. このエリアを選択された意図はどこにありますか?

もともとゆかりがあったわけでもなく、複数の路線に繫がっていて出社にも、プライベートの際もアクセスがいいですし、なにより街が生きている感じがしたからですかね。古いけどいきいきとしているお店があったり、ローカルかつインターナショナルな雰囲気もあるこのエリアがいいなと感じました。

Q. 今回リノベをするにあたって、インスピレーションはどこから湧いてきましたか?

色味含め、写真などベンチマークを集めていました。一言でジャンル分けできるものでもなく、言語化がとても難しいと感じていました。

― 正直、初回提案はハマらなかったと営業・設計担当から聞きました。

当初、自分もうまく言語化ができていなかったです。
新しいものや既製品を使用し、それらしい空間を作るのではなく、古いものであっても“長く使える”
ものに触れていたいと思っていました。
単純にジャンルで括るのではなく、いままで日本で暮らしてきた人たちの知恵を取り入れつつ、そのルーツを自分も大事にしていきたいという考えをお伝えしました。仮に自分がほかの国に生まれて暮らしていれば、その国の生活様式に則るだろうし。
そんな感覚です。
このような思いを伝えられるようになってから、やりたいことを言語化できるようになった感覚です。あらゆる古建具のなかで唯一となった造作建具の取手も、既製品ではなくアンティークショップで気に入ったものを自ら選ばせてもらいました。





Q. 設計担当と古建具を見に行ったと聞きましたが、どのような流れで?

そもそも新しいものじゃないよね。となってからですね。江東区新木場にある「ひでしな商店」で
あらゆる建具を見ました。古建具や古材をかき分け、懐中電灯を照らしながら探しました。
まさに冒険のようでした。
3回くらい一緒に行ってもらいましたね。設計担当の方のはしゃぐ姿にシンパシーさえ感じました笑。
建具を見に行ったあとはコメダ珈琲で、打ち合わせをして、非常に楽しかったです。
家電をなるべく隠したいという私の意向を汲んでいただき、エアコン隠しのプレートを欄間にして
みないかという提案も、そこで設計の方から話が出て、採用しました。


Q. 床や壁は、どんな経緯で素材の選択をしましたか?

床に関しては、「無垢材・暗め・こげ茶」のようなイメージはあり、オルガンさんからノスタモのフローリングを勧めてもらい決めました。壁に関しては、自然の素材を使いたいということもあり、すべての箇所で珪藻土を使用しました。棚等で使用したラワンに関しても、フローリングに合わせて塗装色を決めました。



Q. キッチンにもこだわったと聞きましたが、どんな経緯があったんですか?

コロナ禍で薬膳の文化に触れ、以前住んでいた札幌で副業として薬膳カレー屋をやっていたことがあり。友人などみんなで料理や食事ができる家が理想でしたが、ひとつ前の家では再現できなかったので、これを機に広めのキッチンをと思いtoolboxのステンレス天板を用いて造作してもらいました。身長の高い私に合わせて高さも設定してもらい、ノンストレスで料理ができます。



Q. 弓道をやられているとお聞きしましたが、いつごろから?

中学一年生のころからやっていて、現在は江戸川区の個人道場に通っています。
弓の収納が厄介で、意外に長いんです。組み立て式のものなど、いわゆる弓用の収納は使いたくないなと思っていたタイミングで、先に話した古建具屋で偶然、湾曲した木材を見つけまして。
弓置き場として、設置してもらいました。気に入っています。



Q. 今後、リノベを検討している人にアドバイスをするならば?

イメージを言葉にするのは思っているより難しいと思ったので、言語化できるまでの時間を確保することは重要だなと感じます。そのうえで、自分がどう暮らしたいのかを追究するべきだと思います。「ふつうのリノベでいい」ではなく、リノベに本気で向き合うことが大切だと思います。

[ お引渡し時 ]
















Design & Planning:Abe , Shirabe
Construncion Management:Nakano/Sunahara
Location:OJIMA
Area:49.5㎡
text/photo (shot on iphone):ORGAN CRAFT