STORIES

ディレクター・デザイナー・施工管理・施主へのインタビューで、
家づくりを基点としたストーリーを紐解く。

CASE4:KAKINOKIZAKA
帰ってきたくなる家。
みんなが集うミニマルかつ、ゆるすぎない空間。

仕事として、企業のブランディングやデザインに携わる施主。仕事とも少し似た感覚はありつつも、「自らの家」というこれまでにない“プロジェクト”を楽しめたという。



リノベの選択をして大正解だった。

「新築やリノベ済み物件も検討しましたが、最終的にはリノベ一択になっていました。」
当初、リノベは面倒と想像していた施主だが、リノベ済み物件含め完全に自分好みのデザインに巡り合わず、最終的にフルリノベを選択することに。
自身が取り入れたい要素の軸はぶらさずも、選ぶ予定のなかった素材を取り入れるなど、計画は打ち合わせごとにアップデートしていったという。





間取りの制約があった分、内装に注力できた。

今回、アスベストの囲い込みをする関係で、天井含め間取り変更の制約があった。
当初、天井の躯体あらわしなども視野に入れていたが、そんな制約もあったため、内装や素材選定により重きを置き、やりたい表現ができたと振り返る。
リビング壁にアクセントとして施した左官材・コンティニューオもそのひとつ。
「ここは、遊びに来た友人によくいいねと言ってもらえます。デザイン関係の人は特に。」当初はクロスにする案もあったが、アートを設置することを見据え、空間を引き締める役割としてもコンティニューオを採用してよかったという。





打ち合わせごとに、建材選びもアップデート。

漠然としたイメージや希望の素材感などは常に頭の中にあったが、打ち合わせが進む度に選択肢の幅も広がっていったという。
タイルについても、当初あまり興味はなかったものの、ショールームで実物を見てグッときて、結果的には洗面に名古屋モザイク、キッチン壁や玄関床には平田タイルといった各メーカーのタイルをそれぞれ使用することになった。

Q.家づくりのインスピレーションはどこからキャッチしていましたか?

インダストリアルな雰囲気が好みだったので躯体あらわしを…などという、なんとなくのイメージはありましたが、アスベストの囲い込みなどの兼ね合いもあり、間取りをそれほど変えられない等、各所の可否項目がわかってきまして。そうなった時に決めたテーマは「ミニマルで、素材を活かした雰囲気」でした。個人的に、美術館やギャラリーにもよく足を運ぶので、そこで受けた印象や雑誌で見かけた各地の美術館を参考にすることもありました。家が完成してから、収納のティップスや雑貨に関しては、Instagramを参考にしていますが、家づくりに関しては、本や雑誌からイメージを受けることが多かったです。

Q.解体、中間、完了など複数回現地確認のタイミングがあったと思いますが徐々に出来上がる姿はいかがでしたか?

基本的に、いつもワクワクして打ち合わせに臨んでいました。とにかく打ち合わせが楽しくて。打ち合わせが終わった時は「もう最後か」と寂しくなったほどでした笑。初めてのことなので、打ち合わせの度、徐々に変化していく現場を見ることは特に新鮮でした。引き渡しのタイミングでは、とにかく早くここに引っ越したいと思いましたね。

Q.床、壁など箇所ごとに色味や素材を変えていますが、どのような意図がありましたか?

単純ですが、空間ごとに気分が変わるといいなと思って。一方で、統一するべきところはオルガンクラフトのスタッフさんが統制してくれた感覚です。
そのおかげで当初は採用する予定のなかった磁器タイルを取り入れたり、打ち合わせごとに考え方もアップデートできました。







Q.フローリング選定は、悩みましたか?

当初はヘリンボーンを使いたかったですが、打ち合わせが進み実際にサンプルを確認させてもらったり、ほかの要素と合わせてみた時に、イメージよりは少し重すぎるかもなと。家具の色味などにもマッチしながらも存在感があるものを選びました。TIMBER CREWの床材は気になっていて、ショールームに足を運んで選びましたが、これにしてよかったと思ってます。貼り方も、工夫してもらって、少し空間が広く見える気がします。



Q.本棚も印象的ですが、本はもともと多かったんですか?

今回の引っ越しを機に、何箱売ったかわからないほどありました笑。基本的に、仕事柄もあり、アートや写真系のものが多いですね。展覧会の図録や絵本、見た映画のパンフレットも取ってます。







映画のパンフレット、取っておくのいいですね。

見た映画を忘れたりするので、取ってます。デザイン的にかわいいものもあるので。これは結構お気に入りで、ノルウェイの森のパンフレットです。2010年のものですね。



Q.キャンプ道具など収納についてはこだわりがありましたか?

そんなにアウトドアではないですが友人たちと野外フェスに行くことがあり、寝袋・チェア・カトラリー類などがあるので、その収納場所は確保したいと思ってました。
あとは、いわゆる推しグッズ。収納するか目に見える場所に置いておくか日々悩んでます。X JAPANのhide以来の推しができまして、BTSのSUGAさんグッズがちらほらあります笑。
これもBTSつながりで、VさんのLPなんですが、ジャケットのビジュアルもかわいいですよね。



Q.新居での暮らしはどうですか?

すごく気に入っています。朝起きた時も、家に帰ってきた時もこの家に住めて幸せだという気持ちになります。光や風の抜ける雰囲気が好きで、リビング入口にドアを設置しなかったことも、良い選択だったと思います。友人がよく来てくれるのですが、キッチンカウンターやリビングにアクセントで取り入れたコンティニューオの壁やフローリングは特に羨ましいと言ってもらえます。
あとは、造作の建具もかなり気に入っています。個人的には、枠と建具自体の色味が絶妙に異なるところなど気に入っていますね。











Q.これからリノベする人にアドバイスがあるとするならば?

とにかく、予算内にはなると思いますが、やりたいことは詰め込むべきです。後悔しない選択を。私自身、キッチンについては様々なグレードで悩み、建具も既製品か造作かで悩みましたが、どれもいまの選択をしてよかったと思っています。

[ 備忘録 ]
解体前のサンプル確認や工事中の様子です。








Design & Planning:Kamiyama , Hase
Construncion Management:Nakano
Location:KAKINOKIZAKA
Area:49.5㎡
text/photo (shot on iphone):ORGAN CRAFT