JOURNAL

YUI NAGASE

前編

新たなことへの挑戦を続けながら、作品に込める思い

2回目を迎えた “CRAFTSMANSHIP”。今回、お話を伺うのはオリジナリティあふれるデザインで多くの企業広告やWEBデザインなどを手がける、千原徹也さん率いるクリエイティブオフィス「れもんらいふ」に勤める永瀬由衣さん。“CRAFTSMAN”=“職人”にタスキを渡す役割のデザインという仕事ですが、永瀬さんの考える“CRAFTSMANSHIP”とは?

好きなアーティストと仕事をする、という夢がデザインの世界へと導く

渡會:まず、はじめに現在はどういったお仕事をされているのですか?
永瀬:今はいろいろな仕事をさせて頂いています。CDジャケットや下着ブランドの広告、ロゴデザインなど。デザインだけでなくブランドのコンセプト立案から携わっている案件もあるので、幅広い業務を行なっています。

渡會:それだけ業務が幅広いと正直頭混乱してきませんか?
永瀬:たまにしますね(笑)。常に10案件くらい同時並行で進んでいるので、頭の切り替えは重要だと思います。

渡會:10案件? 頭がパンクしちゃいそうです(笑)。
永瀬:チームを組んで作業をしているので、意外と大丈夫ですよ。また、全く違うジャンルのものをやっているので、却って息抜きになったりもします。

渡會:そもそもデザインを始めたきっかけは?
永瀬:小学生の頃からファッションが好きだったんです。あと、歌手のYUKIさんが大好きで、YUKIさんの衣装をデザインして、一緒に仕事したいなっていうのがひとつの夢としてあったんです。ところが、ファッションデザイナーを目指して大学に入ってみると、他にもいろいろおもしろそうなものがあって。

渡會:どういったものに興味を持ったんですか?
永瀬:特にCDジャケットをはじめとするグラフィックデザインにはかなり興味を惹かれました。実は父親がそういった仕事をしていたので、それが影響したのかもしれません。また、衣装のデザインじゃなくてもCDジャケットを手がければ、YUKIさんと仕事できるかも!という思いもあり…(笑)。

渡會:YUKIさんとはお仕事できましたか?
永瀬:まだです(笑)。これからの目標ですね。

アイデアが形になるまで

渡會:他のアーティストのCDジャケットは制作しているんですよね?
永瀬:はい。会社では様々なアーティストさんのCDジャケットを制作させてもらっています。アートディレクターとして携わらせて頂いた「SHE IS SUMMER」というアーティストの作品は彼女のソロデビュー時から作らせてもらっています。

渡會:ジャケットってどういった流れで制作するんですか?
永瀬:「SHE IS SUMMER」の場合ですが、本人と仲が良かったので、彼女が表現したい世界観をまず聞いて、イメージしていきました。それからかなり話し合いをして、方向性を決めていきましたね。彼女自身もクリエイティブなものが好きなので、お互いの意見を持ち寄りながら進めています。

渡會:お互いが自分の世界観を持っていると前に進まなくないですか? それぞれの意見が食い違って、いつまで経っても決まらないみたいな。
永瀬:そうですね。毎回難しいことは確かです。ただ、私が持っていないイメージを彼女は持っているので、いい刺激を受けますし、高みまで連れていってくれる気がします。楽しい上にとても遣り甲斐がありますね!

渡會:アイデアってどういう時に思い浮かびますか?
永瀬:思い浮かべようと思って、できるものでもないので、難しいですよね(笑)。私の場合は映画を見たり、SNSでフォローしているアーティストの作品を見たりします。あと、ちょっと特殊かもしれませんが、海洋生物を見ています(笑)。

渡會:海洋生物ですか?
永瀬:はい、特にクジラが好きなんですが、あんな大きな生物がまだ生きているんだと思うだけで、なんだか不思議な気持ちになるんです。目も人間に似ている気がするんですよね。見ているだけでインスピレーションが湧いてきます。

後編は永瀬さんが勤める「れもんらいふ」の新たなチャレンジについて伺います。

TEXT:Suguru Arao(Roaster)
Photo:Daisuke Kurihara(Roaster)

永瀬 由衣

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プロフィール:れもんらいふ所属。アートディレクター。女子美術大学 芸術学部 アート・デザイン表現学科 メディア表現領域 卒業。大学時代はファッションを専攻していたが、在学中にグラフィックデザインに興味を持つ。大学2年生時かられもんらいふにてインターンを経験。卒業後就職。現在は、企業広告、CDジャケットなど多彩な領域のデザインで活躍している。

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