BACKSTORIES

家族がチームのように団結する家づくり

毎回、オルガンクラフトが手掛けたリノベーション案件を紹介するバックストーリーズ。今回は、千葉県新浦安に完成したばかりの新築マンションで暮らすアスリートのSさん邸を拝見。なんと、居住前の新築状態からのリノベーションに踏み切ったというSさん夫妻。ここでは、その動機と目的について話を伺った。

<Profile>

世帯主:Sさん/職業はアスリート。結婚8年目、3人のお子さんを持つ5人家族。Sさん家族は、所属チームが変わる度に引越しを繰り返してきたが、2020年に建設中のマンションを購入し新築ながらもリノベーションを依頼。2023年に完成し同年2月より居住する。

新築物件を理想の姿へリノベーション

「アスリートという職業柄、シーズン中の遠征は日常的。またチームが変わる度に移住することが多く、ほとんど家にいない生活を何年も送っていました。その頃はあまり多くの家具や家電、その他の持ち物を持たない、それこそ『身軽』な状態。いつでも引越しができる、そんなことを第一に考えたような住まいでした」と語るのは今回の施主であるSさん。3人のお子さんも大きくなり、長男が小学生に上がるタイミングもあって、今回新築マンションの購入に踏み切ったという。

住居として決めた場所は、Sさんが所属するチーム拠点や都心へもアクセスがしやすく、海も近く、近隣には大きな公園もあるという子育てに好環境なエリア。いくつもそびえ立つヤシの木からもリゾート感が漂う、新築マンションを購入。ところが、Sさん夫妻はマンションの完成前からリノベーションを計画。理由は「もっと理想の家に近づけるため」という。

「元々マンションの施工会社の方へ自分たち夫婦の理想を伝えて、リノベーションの相談をしていたのですが、予算や他の条件がどうしてもマッチせず。一度は諦めかけた時に、たまたまYouTubeで見つけたのが、リノベーションを手掛ける会社『オルガンクラフト』さんの存在。次第に興味が湧いてきて過去の事例などを見て、その感性が自分たちにとても似ていると感じ、すぐに連絡をしました」(Sさん)

家は施主と施工者が一緒に作るもの

Sさん夫妻がこだわったところは、とにかく「開放感のある住まい」であること。可能な限り壁を取り除いて、リビングやキッチンを広くとること。オルガンクラフトとの打ち合わせでは、「リクエストはなるべく細かく、具体的に、遠慮なく」と言われたことが印象的だったそう。「理想的なリノベーションは、施主さんの頑張りも大事」とも。施主が考えていることを最大限に引き出すことで、リノベーションはもっと精度が上がるもの。まさに「家づくりは、施主と施工者が一緒に進めるからこそ、よりご満足感いただけるものになる」、これがオルガンクラフトのコンセプトでもあった。

そのことに感銘を受けたSさん夫妻。「オルガンクラフトさんのスピード感、若く柔軟な感性、そして『一緒にチャレンジしましょう!』といった考え方がすごく良かったです。チームが一丸となって、家づくりをしている感覚になれました」(Sさん)

元々あったキッチン手前の壁やリビングから玄関へ繋がる廊下付近に設置されていた壁は取り除かれ、リビングを一段と広く確保できるようリノベーション。さらに、元々リビングから直接アクセスできなかった子供たちの寝室へは、壁を抜いてアーチを描く出入り口が魅力の動線を新たに増やした。Sさん夫妻が理想としていた開放感のある住まいはこうして完成した。

さらに開放感のある家を演出するのは、バルコニーの存在。およそ20㎡ある広いバルコニーは、心地よいウッドデッキで敷き詰められ、子供たちの遊び場としても最適な場所に。

「ここは、元々コンクリートと砂利でできていて、小さい子供も遊びやすい環境にしようと、全面にウッドデッキを敷こうと思いつきました。そのことをオルガンクラフトさんへ相談すると『工事費も抑えられますし、DIYという手段もありますよ』という予想外な提案を頂きました。そしてDIYを試みたものの上手くできなかった部分は、手伝ってくださり。『本当に親身になってくれているな』という印象でした」(Sさん)

「リノベーションの工事中に、子供たちとちょくちょく見に来ていたのですが、工事担当の方たちが、『ここは、じきに壊すから落書きしていいよ!』など、毎回子供たちと遊んでくれたのも嬉しかったです」(Sさん妻)

夫婦が持つそれぞれのこだわり

一見、シックなホテルのようなスタイリッシュな雰囲気が漂う寝室兼書斎には、Sさんの特別なこだわりがあったという。

「アスリートにとって良質な睡眠はすごく大切な要素の一つ。あえて、トゥマッチな光は抑えるようにして、自分が好きなビンテージ感と男っぽいテイストにして、最高にリラックスできる空間を目指しました。また、ここは書斎としても使っていて、オンラインでのミーティングの時に、映った部屋がカッコいい方がモチベーションも上がる(笑)と思っています」(Sさん)

一方奥さんが一番こだわった部分はキッチン周り。十分なスペースを確保したオープンキッチンが開放感を演出し、カウンターに配された大きな天然木の天板が特別な癒しを与えてくれる。

「食器を並べている棚は、木材の天板をそのまま設置したような作りをリクエストしました。棚の木を支える金具部分まで、自分たちが好きなものをチョイスすることができたのも良かったポイント。キッチンの横には造作していただいた収納棚があり、そこに炊飯器や電子レンジを入れて、生活感をあまり出しすぎないようにしました。カウンターにある大きな木のテーブルでは、料理の支度中に子供の宿題を見たり、主人が軽食をとったり、家族みんながお気に入りの場所になっています」(Sさん妻)

家族がまとまる空間へ

3人の育ち盛りの元気なお子さんとともにSさん夫妻は常にリビングにいる。一緒に遊んだり、勉強したり、休んだり。Sさんは「これだけ快適な条件が揃っているリビングなら、子供たちがもっと大きくなっても『ここにいたい』と思ってくれるんじゃないかな。自分は身体が大きいので『パパはあっち行って!』とか言われるかも(笑)」と言って、未来の家族の景色を想像すると一層穏やかな表情になった。

可能な限り、リビング周辺の壁は取り除き、キッチンはカウンター式のオープン仕様で開放感のある空間に。バルコニーは、温もりのあるウッドデッキでフラットにして、子供たちが遊びやすいスポットに。Sさん夫婦がこだわった開放感のある暮らしには、家族がまとまる空間が生まれた。

よく晴れた夏の日。朝起きだした子供たちは、いつもやんちゃで賑やか。今日もすぐに子供部屋を通ってアーチを潜り、パパとママが待つリビングへ向かう。

Photo&Text:Daisuke Udagawa(M-3)