“CRAFTSMAN SHIP”
誇りと情熱を持って作り出された職人の作品には、時代を超えて愛される特別な力が秘められています。ORGAN CRAFTも職人が作り出す作品のように、いつまでも愛されるものを届けたい。内装を創るということは、そこに住む人の新たなストーリーを作り出すこと。そんな重要な役割を担うには、いつまでも愛されるものではなくてはならないと考えるからです。
そこで、さまざまな分野で活躍する職人に、“CRAFTSMANSHIP”についてお話を伺う連載をスタートすることにしました。その道のトップを走る職人たちの言葉に耳を傾けることで、新たに見えてくることがあるからです。
記念すべき初回はORGAN CRAFT取締役の渡會竜也とも親交のある中鉢祥太さん。母親と花屋を営みながら、イベントや展示会の植物装飾を行なっている。中鉢さんの考える“CRAFTSMANSHIP”とは?
渡會:改めてこういった形で話すのは何だか照れ臭いけど、よろしくお願いします(笑)!
中鉢:よろしくお願いします!
渡會:この企画では“CRAFTSMANSHIP”をテーマに対談することになっているんですけど、モノづくりを始めたきっかけは花屋ですか?
中鉢:そうですね。子供の頃から図工や美術の授業は好きだったのですが、今の仕事においてモノづくりといった意識は実はあまりなくて。花束とかでも、仕入れた花と花を組み合わせる作業なので、ものづくりというよりコーディネートしている感じです。
渡會:確かにハチくん(中鉢さんのあだ名)は洋服屋のイメージでした。花屋になっていてびっくりしました!
中鉢:洋服が好きで専門学校でもファッションデザインを専攻しましたが、結局セレクトショップで働くことになったんです。その時に作ることよりも何かと何かを組み合わせるとか、選んだりコーディネートする方が自分には合っていると思いました。今も洋服が花に変わっただけで、あの花とこの花合わせたらイケてる!みたいな感じはあまり変わらない気がします。
渡會:そういう意味では似ているんですね。
中鉢:本当に似ているなって思うことが多くて。普及されすぎて何とも思われていない植物や安価な植物の仕立て方を変えて格好良く見せたり、他のお花屋さんじゃあまり置いてないものを見つけてきたりして、これなぁに?みたいな。洋服でもそういう事あるじゃないですか。
渡會:なるほど。洋服屋営んでいる時から花とか植物は好きでしたか?
中鉢:いいえ、全く(笑)。僕が生まれた時から母親はずっと花屋に勤めていましたが、興味は湧かなかったですね。8年前に母親が「The Bulb Book」をオープンしてからも、ホームページの制作とか忙しい時に簡単な手伝いはしていましたが、花についての知識は皆無でした……。
ファッション業界から異業種への転身の理由とは。
渡會:それが、どうして花屋を手伝うことに?
中鉢:花や植物のブームもあり、数年前くらいから僕の周り人たちが花や植物を生活の一部として取り入れるようになってきて、より身近になったというのはあると思います。そんなブームの影響もあってか、僕の実家が花屋だと知っている知人、友人から花について仕事の相談されることが増えたんです。手前味噌ですが、母の店はいい店だなと思っていましたし。花屋になるのもいいかも……と(笑)。
渡會:僕も出会った頃から知っていたらお願いしたかった〜。
中鉢:僕自身がその需要に気付けてなかったので、積極的には話してなかったですね。
渡會:もったいない! 初めて「The Bulb Book」を訪れた時に「これは凄い」と感動したのを覚えています。
中鉢:僕も覚えています(笑)。そう言ってくれる人も実は少なくないのでとても嬉しいです。花屋になって良かったと思える瞬間の一つですね。
渡會:洋服と花屋は縁遠い気がしていたけれど、かなり身近になった気がします。
中鉢:そうですね。ファッションの専門学校も出ましたし、やっぱり洋服関係の仕事をしていたい気持ちも強かったです。洋服と花や植物が身近に感じるようになれたことは、花屋になろうと決める時にはすごく大きかったですね。
渡會:弊社主催の「THE CAMP BOOK」でも装飾をお願いしたけど。そういった装飾のインスピレーションはどういった時に湧きますか?
中鉢:特に意識はしていないのですが、街の植栽や遠出した先に自生している植物に自然と目がいくようになった気がしますね。植物のレイアウトではナチュラルさが重要なので、装飾する際は不自然にならないようにしています。依頼してくださるクライアントさんのイメージやコンセプトに則した表現をインターネットや本などで調べて参考にすることもあります。ただ、「The Bulb Book」は母の店なので今まで母がやってきたことがブレないように心がけてはいるつもりです。ついつい、変わったことや母があまり好きじゃないこともやってみたくなっちゃいますが(笑)。
後半はフラワー業界に飛び込んでから中鉢さんが感じたことからはじまります。
TEXT:Suguru Arao(Roaster)
Photo:Daisuke Kurihara(Roaster)